2013年3月18日月曜日

Devil Doll, インタビュー要約(5)


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  • あなたのアルバムのコンセプト、テーマ、示唆などを伝えてくれないだろうか?


『死せる少女に捧ぐ(The Girl Who Was ... Death)』(1989)


『死せる少女に捧ぐ(The Girl Who Was ... Death)』は、実質上のデビュー・アルバムである。というのも、本当のデビュー・アルバム、The Mark of the Beastはたった一枚しかプレスされておらず、Mr. Doctor自身がそれに手書きのアート・ワークを書いのだから。『死せる少女に捧ぐ』で最も印象的な部分(ギターソロに続いて「お前は誰を探しているのか…お前は何を見つめているのか…(Who Are You Looking For…What Are You Looking At…)」というセリフと、素晴らしいヴァイオリン・ソロが入る部分)は、The Mark of the Beastから取られている。両アルバムは(歌詞が異なっているとはいえ)、基本的に同じ音楽である。但し、『死せる少女に捧ぐ』で音楽だった部分は、The Mark of the Beastではセリフだった部分であり、The Mark of the Beastで音楽だった部分は、『死せる少女に捧ぐ』でセリフになっているという違いはあるのだが。
スタジオでの一発撮りという形のため、『死せる少女に捧ぐ』は、Devil Dollのアルバム中、もっともロック的要素が強いものになっているという。大まかな元ネタは、1967年のイギリスのテレビドラマ、『プリズナーNo.6(The Prisoner)』である。『プリズナーNo.6』は、主演のパトリック・マクグーハンが、すべてをコントロールしていたという点で、Devil Dollととてもよく似通っているのだという。

『絞首台(Eliogabalus)』(1990)


『絞首台(Eliogabalus)』はほぼすべてが、Devil Dollのイタリア人部門によって演奏されている。このアルバムは、タイトルチューンと、元々は「精神の黒き穴(The Black Holes of the Mind)」と言う名前だった、'Mr. Doctor'という曲が収録されている。この曲は、尊敬されるべき「博士(Doctor)」である兄からレイプされていた(その兄は後に鉄道自殺した)と告白したDevil Dollのファンの話を基にしているという。歌詞で描かれている犯罪のうち、「私の兄(my brother)」を殺すというのは、Mr. Doctorが見た夢が元であり、そこには母である「私に斧をくれた名状しがたき者(unnameable who gave me the axe)」も出てくる。ほかのものは、彼が犯罪法学の博士を学んでいたときに知った事例を基にしているという。'Eliogabalus'という曲は、ローマ皇帝へリオガバルス(1に因んでいる。彼は自らの美貌を保つために数々の逸脱行為をしたために殺害され、元老院は彼の痕跡を残さないように指示したため、しばらく存在すらほとんど知られていなかった。Devil Dollにおいて、Mr. Doctorは、ヘリオガバルスを、鏡の向こう側から世界を見ている倒錯者として描こうとしたという(そしてMr. Doctor自身も、その位置にいるという)。「精神の黒き穴」は、Devil Dollの曲のなかで唯一、スタジオ録音される前にライブで演奏されていた曲であり、最終部はレコーディング・スタジオの真上にあるバーで真夜中に録音された。そのため、煙草を買いにきた客に店員が挨拶している声が聞こえる。「精神の黒き穴」のレコーディング時、Mr. Doctorは、その前日に完成した'Eliogabalus'も同時に録音しようとしたので、'Eliogabalus'はリハーサルされなかったという。しかもボーカルパートをどのように演じれば良いか定まっていなかったにもかかわらず、時間的余裕がなかったため、ほとんど即興で演じられたという。

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(1)ヘリオガバルス(203-222):ローマ帝国第23代皇帝(在位:218-222)。数々の暴君を数えたローマ皇帝のなかでも、断トツに「史上最悪の皇帝」の呼び名をほしいままにしている。性的な倒錯が数多く伝えられており、両性愛者、またはトランスジェンダーであった可能性もある。自らに女性器を作る手術をしたがっていたとも言われる。また、宴席に招いた客の上に大量の薔薇の花びらを落として窒息死させる「薔薇刑」でも知られるが、信憑性は疑われる。しかし、そのスキャンダラスな短い人生のおかげで、さまざまな創作作品に取り上げられている。

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