2013年3月18日月曜日

Devil Doll, インタビュー要約(4)


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  • 歌詞については、どのような影響を受けているのだろうか?文学、哲学、伝統、宗教などの影響があるように思われるが?
Mr. Doctorは、音楽を作るさい、まず歌詞から作るという。歌詞がプロジェクト全体でもっとも複雑で、繊細で、困難な側面だという。言葉には「音」と「意味」の二つの要素が含まれている。よって、「言葉の音(word-sound)」を組み立てる行為は、単なる作曲行為よりも厳密でなければいけないし、骨の折れることであるようだ。またMr. Doctorは、「音は裸である(words are naked)」とも言っている。どんなに巧妙なオーケストレーションや素晴らしいアレンジがあっても、悪い歌詞は、その空虚さを露呈してしまう。また彼は、芸術において、コンセプトが出発点であり得るということを信じている。但し、それはいかに魅力的であろうとも、本質的には良くできた装飾に過ぎない。構造的になってしまったらお終いだ、と彼は言う。つまり、コンセプチュアル・アートとは、相矛盾する用語なのだ。芸術において、知性ほど馬鹿げたものはないという。というのも、芸術を構成したり、誰かの芸術を吸収するためのメカニズムは、愛や信仰や魔法と同じく、演繹法でなく、帰納法に支配されているのだから。帰納法とは、詩作における根本的な要素であり、認識の未知の領域を拓くものなのだという。彼はしばしば、より「深みに嵌りたい」者たちのために、引用句を歌詞のなかにちりばめることを認めている。そのあるものは、『怒りの日(Dies Irae)』におけるエドガー・アラン・ポー(1、エミリー・ディキンソン(2、エミリー・ブロンテ(3のように、スリーブに明記してある場合もあれば、フランツ・カフカ(4、アンブロース・ビアス(5、ライナー・マリア・リルケ(6、ルイジ・ピランデッロ(7のように、なかなか分からないものもあるという。

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(1)エドガー・アラン・ポー(1809-1849):アメリカの作家。怪奇小説、推理小説、SF小説など、さまざまな分野の短編を書いた。意外にも長編は一作もなく、唯一の中編『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』は怪奇的な海洋小説であり、作者の死後、ジュール・ヴェルヌによって続編が書かれた。その謎めいた死はいまだに人々の想像力を掻き立てている。

(2)エミリー・ディキンソン(1830-1886):アメリカの詩人。生涯ほとんど家のなかに籠り、個人的な詩を書き続けていたため、生前は無名であった。死後大量の手綴じ本が発見され、出版された。

(3)エミリー・ブロンテ(1818-1848):イギリスの作家。ブロンテ三姉妹の一人。唯一の詳説『嵐が丘』を残しただけで、30歳にて病死。

(4)フランツ・カフカ(1883-1924):オーストリア=ハンガリー帝国(現チェコ)生まれの作家。作品はドイツ語で書かれている。生前は『変身』など一部の作品のみが知られていたが、『失踪者』、『審判』、『城』など、死後刊行された長編小説により名声を博す。肺を病み年金生活になるまで、保険局員として働いていた。

(5)アンブローズ・ビアス(1842-1913(?)):アメリカの作家、ジャーナリスト。アイロニカルな『悪魔の辞典』で知られる。1913年、メキシコ、チワワ州にある洞窟に入り、失踪。

(6)ライナー・マリア・リルケ(1875-1926):オーストリア=ハンガリー帝国(現オーストリア)の詩人、作家。小説『マルテの手記』が有名。ドイツの代表的な詩人の一人。

(7)ルイジ・ピランデッロ(1867-1936):イタリアの劇作家、詩人。ノーベル文学賞受賞。

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