2013年3月17日日曜日

Devil Doll, "The Girl Who Was ... Death"

Devil Doll, The Girl Who Was ... Death, 1989
デヴィル・ドール『死せる少女に捧ぐ』1989年


 スロヴェニアの変態的シアトリカルバンド、Devil Dollの第一作である。直訳すると「死…だった少女」になるだろうか。ちょっと日本語に直しづらいので、『死せる少女に捧ぐ』というのは、意訳ながらなかなか優れていると思う。正確なことを言えば、これはファースト・アルバムでなく、実はこの前にThe Mark of the Beastというアルバムが作られているようであるが、それは一枚しかプレスされておらず、バンドの主催者Mr. Doctorの手許にあるらしい。よって、実質的ファースト・アルバムと言っていいだろう。
 ちなみにこのアルバムは、1967放送のイギリスのテレビドラマ、『プリズナーNo.6(the Prisoner)』(全17話)をベースにして作られているらしい(海外のDevil Doll研究ページにも、そう書かれている)。さらに言えば、The Girl Who Was ... Deathというタイトルも、『プリズナーNo.6』第15話、'The Girl Who Was Death'から取られているようである。

 またこのアルバムはタイトル・トラック一曲のみの収録となっており、一曲で1時間という長さである。しかし音楽そのものは38分で終了し、あとは20分の沈黙が入り、その後、このthe Prisonerのセリフが2分ほど収録され、アルバムは終了する(ちなみにこのセリフは、アイアン・メイデンのThe Number of the Beastに収録の、そのまんま'The Prisoner'という曲にも使われている)。だから1時間と言いながら、曲としては38分と考えてもいいだろう(それでも長いけど)。もちろんこの20分の沈黙も、なにか意図があるのだろうが、ちょっと間延びするのも確かである。
 まぁ、この「長尺の音楽+沈黙+セリフ」というのは、彼らの三作目『宗教冒涜(Sacrilegium)』にもそのまま受け継がれるわけで、Devil Dollの基本スタイルのひとつが、ここで確立されているとも言える。

 曲そのものは、Mr. Doctorによる、歌とも語りともつかない朗読的なボーカルで展開していくのであるが、『宗教冒涜(Sacrilegium)』に比べると、ややロック寄りが強いように思われる。もちろん、おどろおどろしいボーカルの畳み掛けや、神秘的な歌詞などは共通しているのだが、ギターやドラムなどの楽器が、ロック色を強めているのだろうか。また、途中で戦争映画的な効果音が入っていた『宗教冒涜(Sacrilegium)』に比べると、それほどSE的なものは使われておらず、ストリングスやピアノが使われているとはいえ、まだ「ロック」と分類することは十分出来るように思う。
 もちろん曲そのものを聞いていても楽しめるのだけれども、このアルバムの基になっているというドラマ『プリズナーNo.6(The Prisoner)』を見れば、もっと深く理解することが出来るのだろうか…?



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